9月のレオ・レオニのカレンダー
わが家の今年のカレンダーは、絵本作家レオ・レオニの絵が毎月書かれたカレンダーです。
せっかくなので、毎月ごとにカレンダーの作品を読むことにしています。
今月のカレンダーはこちら。
1月と同じ『フレデリック』から冬眠の準備中のネズミさんたちの絵でした。
▼『フレデリック』はこちらで紹介しています。
フレデリックは、過去に記事で紹介しています。
なので、今月は図書館で別のレオ・レオニの絵本を借りてみました。
びっくりたまご
3びきの かえると へんな にわとりの はなし
石ころ島に、3匹のかえるが住んでいました。
ジェシカは毎日どこかへ出かけては、「すごいものみつけたの!」と何でもない石ころや何かを持って帰ってきます。
ある日、まん丸の石をもって帰ってきたジェシカ。
それは・・・たまごでした。
「これは、ニワトリのたまごね」物知りのマリリンが答えます。
さて、生まれてきたのは?
カエルたちと「ニワトリ」は毎日遊んで仲良しになります。
最後のシーンで、その「ニワトリ」はお母さんのところに無事に帰っていくのですが、
「ニワトリ」のお母さんは、「おかえり、かわいい私のわにちゃん」と喜びます。
それを2人に話すジェシカ。
2人は、「わにですって!」と大笑いします。
知っていることは知らないこと
3匹は、たまごから生まれたワニの赤ちゃんを「ニワトリ」だと思っています。
ワニを知らない3匹のカエルたち。
3匹は一緒に遊んで、ジェシカと「ニワトリ」はとっても仲良しになります。
最後まで、3匹は「ニワトリ」だと思ったままお話は終わります。
絵本の中で、3匹と「ニワトリ」の出会いは、本当はそれがワニであろうが、アヒルであろうが関係なかったのでしょう。
「ニワトリ」と名付けたそのものと出会ったんですから。
私たち皆がワニだと思っているもの、ワニだと名付けているものに出会っただけです。
でも、もしワニというものがカエルを食べてしまうかもしれないことを知っていたり、ワニという生き物について知っていたら、カエルたちはこんなに小さなワニと仲良しになれたでしょうか。
名前は何かを固定します。
私たちは、わからないことの怖さ、知らないことの怖さを、「名前」がつくことでわかったような気になって安心したりします。
けれど、絵本を読んで、子どもが自分が名付けた世界、自分に見えている世界とそのまま素で出会って関わっていく力のようなものを感じました。
▼息子があるものを見て考案した名前がのってます。
子どものエネルギー
訳者の谷川俊太郎さんは、本の訳者の言葉に以下のようなことを書かれています。
大きな美しい卵から生まれてきたものが何なのか、最後まで三匹は知らないのですが、それでもちっとも怖がらずにそれと仲良くなってしまう、そのおおらかさがなんとも楽しい。
卵をみつけてきたのは、おてんばなジェシカ、彼女には見るもの聞くものすべてがすばらしいのです。その行動力といきいきした感性は、どんな子どもにもひそんでいる未来へとむかうエネルギーを感じさせてくれます。
子どもって、純粋にエネルギッシュです。
大人はびっくりして付き合ってると疲れ果ててしまうくらい。
毎日が発見と世界との出会いの連続で。
昔、赤ちゃんがお母さんとぴったり一緒にくっついている時期から、歩き出せるようになって自分でウロウロと離れていっては、怖かったり寂しくなるとお母さんのところに戻ってくるような時期を「世界との浮気」って表現しているのを本で読んだことがあります。
「世界との浮気」
とっても素敵な言葉だなぁって思います。
どんどん新しい世界に出会って、恋におちてくださいなぁ〜。
そして、怖かったり甘えたくなったら、いつでも戻っておいで。
そんなふうに感じます。
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