絵本はいつもそこにある
ちょっと変テコな見出しをつけてしまいましたが、最近私がふと手にとった絵本のことを今日は書いてみたいと思います。
我が家には小さな絵本棚が一つあります。
その絵本棚にある絵本をいつも全部見ているわけではなく、無意識のうちに見たり見なかったりしながら、その日のその時の気分で絵本を選んでいるような気がします。
今回手にとった絵本『かぜはどこへいくの』も、私が昔自分で買った絵本です。
今までずっと絵本棚(といっても、子どもにはまだ早いので絵本棚の下段引き出しに入っています)にあったけれど、あることすら忘れていたくらいの存在でした。
それが、ふっと絵本棚開けたときに気になって、今回もう一度読んでみました。
きっと、今の私の心に触れるものがあったのだと思います。
絵本はいつもそこにある・・・私の心が選んでくれる「とき」を待っていてくれる。
そんなふうに思います。
『かぜはどこへいくの』
一日の終わり、寝かしつけのときに男の子がお母さんにたずねます。
「どうして、ひるはおしまいになってしまうの?」
と、おとこの子は、おかあさんに ききました。
「よるが はじめられるようによ。」と、おかあさんはいって・・・
(中略)
「だけど、ひるが おしまいになったら、お日さまは どこへ いっちゃうの?」と、おとこの子は ききました。
「ひるは おしまいにはならないわ。べつのところで また はじまるの。そして、お日さまは、そこをてらすのよ。おしまいに なってしまうものは、なんにもないの。べつのばしょで、べつのかたちで はじまるだけのことなの。」
「どんな ものでも?」と、おとこの子はききました。
「ええ、どんな ものでも。」と、おかあさんは こたえました。
おとこの子がお母さんにいろんな質問をして、最後に外をみると、新しく生まれた細いお月さまが空にかかっていました。
この絵本には静かな静かな時間が流れています。
子どもが寝付く前にお母さんにたずねる深い問い。
お母さんは、おとこの子の問いに、静かに言葉を返していきます。
きっと、この男の子は安心して明日の朝まで眠れたのではないでしょうか。
どうして夜になるの?
「どうして夜になるの?」
絵本と同じような質問を3歳の息子にされたことがあります。
夕方、公園から暗くなった道を息子の手をつなぎながら歩いていたときのことでした。
その時、子どもは直感的に何かを感じ取り、一日の終わり、そして、すべてのものに終わりがくることをどこかでわかっているのではないかと私は思いました。
さみしいね、でも怖くないよ大丈夫。
今こうやって手をつないでお散歩してるから。
一緒に寝んねしたら、また楽しい時間がやってきてくれるから。
そう想いながら、子どもの手をぎゅっと握り、一緒にお月さまを見ながら家路につきました。
私はお月さまの絵本が好きです。
じっとそこにあって私たちを見守ってくれているような気がするからです。
大人も絵本を読んでみると、自分のこころの言葉に気付かされることがあります。
今の自分が何を感じ、何を想い、何を大切にしたいとおもっているのか。