絵本作家のかこさとしさん
だれもが一度は手に取ったことがあるだろうという有名な絵本。
そんな定番絵本の作者の一人にかこさとしさんがおられます。
私も、かこさとしさんの絵本をわくわくしながら子どもの頃に読んでいました。
10年ほど前に、雑誌MOEの特集で『だるまちゃんからからすのパンやさんまで』というかこさとしさんの特集号がありました。
『MOE 2006年10月号』
この本には、かこさとしさんのインタビューや、作業机の様子も載っていて、かこさとしファンにはたまりません。
もちろん、たくさんのかこさとしさんの絵本の紹介もされています。
それ以降も、かこさとしさんは絵本雑誌などで紹介や特集されていることが多いのですが、私はなぜかこの古い雑誌が愛読書になっていて手放せずにいます。
かこさとしさんって、目の細い少年のような雰囲気をもったおじいちゃん。
大柄で身振りもおおきなおじいさんなのだそう。
トレードマークは黒縁メガネ。
写真は、雑誌MOEからお借りしています。
書斎は、一面に本などの資料が無造作に置かれています。
作業机の上や周囲も決してきれいに整頓はされていませんが、何やらいろんな資料がいっぱい発見できそうなお部屋。
作業机は、かこさとしさんの手作りなんだそうです。
道具の整理には空き缶をつかったり、使っている絵の具やパレットも娘さんのお古だそうです。
断捨離の半端を行く感じですが、こういう発掘系の部屋も逆にこのくらいまでくるとワクワクして素敵な空間だなぁと思います。
かこさとしさんの絵本には、科学絵本や知識絵本も数多くあります。
そんな詳細な観察や下調べのための資料がこの部屋の中にたくさんあるんだろうと思います。
人がおもしろいと感じる三原則
MOEの記事の中に、かこさとしさんへのインタビューが掲載されています。
その中で、かこさとしさんの絵本が人を引きつける、「おもしろさ」がどこから来ているのかということを聞かれたときに、三原則があると答えておられます。
・その対象の人に関係する内容であること。
(子どもにいきなり、総理大臣は・・・と始めてもダメ)
・おはなしや説明が、その対象の理解できる順序であること。
(小さな子には、倒置法はちょと無理)
・対象になる人が一番求めているテーマであること。
(二番ではダメで、これがわかれば楽なんだけど)
この三原則って、絵本に限らず、子育てする中で子どもに何か興味をもってもらいたいとか、何かを一緒に楽しく学んでいきたいと思うときにも当てはまると思います。
難しいけど・・・。
トンボの上を行く、ザリガニ以上の魅力を出すということです。
インタビューの中で、かこさとしさんがおっしゃっている言葉です。
そうでなければ、子どもは本物のトンボやザリガニの方が魅力があって行ってしまうのだからと。
かこさとしさんの絵本は、本当にこの言葉につきる感じがします。
かこさとしさんの絵本に出てくるキャラクターや生き物は、すべて本物のそれ以上の魅力があるから、何か惹きつけられて印象に残るのではないでしょうか。
今日は、そんなかこさとしさんの絵本から、息子とこれまでに読んだ10冊を紹介したいと思います。
順不同です。
感覚で並べていますので、気になった本から是非手に取ってみてください。
1.だるまちゃんとてんぐちゃん
有名な絵本。
だるまちゃんは、大好きなてんぐちゃんのもっている帽子やうちわ、下駄に長い鼻まで、自分も同じものがほしいなぁ〜って思います。
そこで、家に帰って大きなだるまどんに相談すると・・・。
たくさんの帽子にうちわに、履物なんかをどんどん出してきてくれます。
この絵本の楽しさの一つは、このたくさんのアイテムが並んでいるシーン。
だるまちゃんは、家にあるものを上手く利用して、てんぐちゃんそくっりになっていきます。
最後に、「鼻」と「花」という言葉あそびが入っていたり、ワクワク楽しいお話です。
2.からすのぱんやさん
お父さんとお母さんは頑張って働きますが、育児に忙しくどんどん家は貧乏になっていきます。
そんな中、子どもたちがおやつに食べていた失敗作のパンを味見した他のカラスの子どもたちが「おいしい!」ってことになって、パン屋さんにパンを買いにくることになりました。
そこで出て来るのが、有名なあの「かわった形のおいしいパンをどっさりたくさんつくりました」のページです!!
絵本の一面に思わず声をあげてしまいそうな楽しい形をしたパンたちがたくさん出てきます。息子も食いついていました。
こんなパン屋さんがあったら私も子どもと一緒に行ってみたいなぁ。
3.出発進行!里山トロッコ列車
かこさとしさんらしく、トロッコ列車に関する詳細な説明や解説が盛り込まれています。
蒸気機関車大好きの息子が喜んで読んでいました。
今は見ることも少なくなった田舎の里山の風景ものどかで美しいです。
この絵本は、かこさとしさんが90歳を超えて書き下ろされた絵本。
そういえば、絵柄が昔の作品よりも柔らかいような気がします。
4.とこちゃんはどこ
赤い帽子に青いズボンのとこちゃん。
お母さんとデパートに行ったり、お父さんと動物園に行ったり、おばあちゃんとお祭りに出かけたり。
その度に、トコトコとことこ一人でどこかへ行ってしまいます。
元祖ウォーリーを探せみたいな絵本です。
小さく描きこまれたデパートや海水浴場などのシーンは、大人でもちょっと探すのがむずかしいくらい。
とこちゃんのお父さんとお母さんの疲れきった顔に思わず共感・・・。
5.ゆきのひ
田舎の村に雪の季節がやってきました。
昔の時代の冬の光景が拡がります。
雪が降り始めると雪囲いをしたり準備を始め、だんだんと雪が深くなり、子どもたちがかまくらを作って遊んだり、雪どけをしたり。
最後は、吹雪になって汽車も電気も止まってしまいます。
村中の男の人たちが集まって吹雪の中、除雪して線路や電気線を守ります。
私の年代でも見たことのない風物詩のようなものがたくさん出てきて、勉強になります。
昔の人たちって本当にすごいなぁって思います。
6.だるまちゃんとうさぎちゃん
雪遊びの絵本。
だるまちゃんたちが雪だるまを作って遊んでいると、雪玉がコロコロころげて、うさぎちゃんたちのところへ行きます。
雪だるまをしらないうさぎちゃんたちに、雪遊びを教えてあげるだるまちゃん。
家に帰ると、温かい部屋の中でだるまちゃんやうさぎちゃんの形をしたリンゴをお母さんがむいてくれます。
このだるまちゃんの形のリンゴがかわいい!
やさしい冬のひとときを感じさせる冬の遊び絵本です。
7.はははのはなし
歯のお話。
どうして歯磨きをしないといけないのか、どうやって虫歯になるのかということをかこさとしさんらしく、科学的に丁寧にわかりやすく解説した絵本です。
虫歯になった子どもの痛そうな顔や、弱々しい人たちの姿に、虫歯になりたくない!って思う絵本です。
子どもに歯磨きの大切さを教えたいときに、一緒に読みたい絵本。
これを読んで、息子はご飯ももりもり食べることが丈夫な歯をつくるために大事だってことを覚えてくれました。
8.れんこんだんめんだいこんざんねん
ちょっとマニアックな、いろんなものの断面の絵本。
そう、断面です。
野菜や食べ物が入った器、建物なんかが縦横ななめに切られて描かれています。
苦手だった数学の授業を思い出す感じ・・・。
大人でも難しい内容ですが、子どもは普通に楽しんで「これなんだろうな?」って興味深々で読んでいます。
こうやって楽しむことから、科学や数学の世界に興味をもってくれたらいいなぁ。
9.かわ
山の中から出てきた雨水が、だんだんと大きな流れになって、田舎の村から街へ、工場地帯へと徐々に河口に向かっていく様子が描かれています。
ページごとに、少しずつ変わっていく風景。
こちらも勉強になる絵本です。
風景を俯瞰する感じで、小さく丁寧に描きこまれた絵を見ていくのが楽しくて、
3歳の息子も熱中して読んでいました。
現代版で、一面におおきな地図のように広げて読める絵本になって登場しているようです。これは、地図好きにはたまらないワクワク感だと思います。
10.どろぼうがっこう
どろぼうの生徒たちが通うどろぼう学校。
くまさか先生の元に集まった泥棒の生徒たちが、宿題を出されますが、皆ちょっと抜けていて0点。
先生は、夜中に皆を集めて、どろぼうの遠足にでかけます。
たどり着いたのは、街中で一番大きなお屋敷。
みんなで中に忍び込み、カギのかかった一番置くの大きな部屋に入ると・・・。
何だか不思議なお話で、絵もちょっと独特で、子どもは最初は引きぎみでしたが、何度も繰り返して読んでいました。
「うんどうかい」「だつごく」というシリーズ本が出ています。
これで10冊。
今、すでに『おたまじゃくしの101ちゃん』を借りて読んでいるので11冊目です。
また、20冊くらいになったら紹介したいと思っています〜。
おまけ
先程、冒頭で紹介したMOEの中に、『からすのパンやさん』のいろんな形のパンを実際に焼いてみました!って記事があります。
よく作ったなぁ〜。
かわいいので、見ていても飽きません。
でも、やっぱりかこさとしさんの手書きのパンのページの方が不思議とワクワクするんです。
すごいなぁ〜。
本物以上の絵本の魅力。
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