6月のレオ・レオニの絵本
今年はレオ・レオニの絵本のカレンダーを使っています。
毎月ちがった絵本の絵が載っているので、月ごとにカレンダーと同じ絵本を図書館で借りて読んでみようと思い、続けています。
今月のカレンダーは、こちら。
ワニのコーネリアスの挿絵です。
レオ・レオニといえば、ネズミのイメージですが、ワニの絵本どんな話か楽しみ。
さっそく、図書館に絵本を予約して借りてみました。
ワニのコーネリアス たってあるいたわにのはなし
副題に、「たってあるいたわにのはなし」とあるように、生まれたときからワニのコーネリアスは他のきょうだいと違って二本足で立って歩くことができました。
コーネリアスは、立つことができたので他のワニたちがこれまでに見たことのないものを見ることができました。
「僕には、草むらのずっとむこうが見える!」
けれど、それをきいた他のワニたちは、「それがどうしたっていうのさ?」と言うだけ。
怒って出ていったコーネリアスは、途中でさるに出会います。
「僕、立って歩けるよ!」コーネリアスが言うと、
さるは「僕は逆立ちができる」「しっぽでぶら下がるのも」と言います。
コーネリアスはびっくりして、「それ教えて」とさるに言います。
さるもうれしそうに教えてくれました。
逆立ちと木にぶら下がることを覚えたコーネリアスは、もう一度仲間のワニのところへ帰ります。
ワニたちにやって見せてあげるのですが、やっぱり「それがどうしたっていうのさ?」という返事が返ってきました。
残念に思ってその場を立ち去ろうとしたコーネリアスが、ふと後ろを振り返ると・・・
仲間のワニたちが逆立ちの練習をしていたのです。
「コーネリアスはほほ笑んだ。川岸での暮らしは、これですっかりかわるだろう」
という一文で絵本が終わります。
素直に自分にないものを認めること
コーネリアスは、他のワニたちができない立って歩くことができます。
そのために、ワニが体験したことのない世界をたくさん見ることができます。
それを、コーネリアスが他のワニたちに教えてあげたいと思うのですが、他のワニたちは、「それがどうしたの?」と言うだけ。
最後のシーンで、ほかのワニたちも本当はコーネリアスの教えてくれたことに心動かされていたことがわかります。
自分がもっていないもの、素敵なもの、楽しそうなこと。
そうしたものを仲間や他者がもっているのをみて、素直に「いいなぁ、教えてほしいな。自分もそうなりたいな」って思ったり、言えたりするのって難しいことなのかもしれません。
素直になれたら世界が変わる気がする
コーネリアスは、さると出会ったときに自分にはできない逆立ちをするさるの姿を見て、びっくりします。
そして、「ぼくにも教えてくれる?」ってコーネリアスはすぐにお願いします。
一生懸命覚えようとするコーネリアス、うれしそうに協力して教えるさる。
コーネリアスのように、純粋に好奇心をもって世界を見たり、純粋に仲間に良い物を教えてあげたいと思える人っていいなぁと思います。
みんなが少し素直になって自分や他者を受け入れることができたら、「川岸での暮らしはすっかりかわるだろう」と思うのです。
4歳の息子の反応
絵本を読んだ後「どうだった?」と聞くと・・・
「ワニさん、教えてあげてるだけだったよ」と。
内容をどこまで理解しているかはわかりません。
でも、この息子の言葉はそのままずばりだなぁと私は思いました。
コーネリアスは仲間にただ教えてあげたかっただけなんだろうな。
仲間と一緒に楽しみたかったんだろうな。
レオ・レオニの絵本
レオ・レオニの絵本は、何よりも色使いの美しさにいつも心惹かれます。
今回絵本は、レオ・レオニの20冊目の絵本だそうです。
訳は、いつもの谷川俊太郎さん。
装飾がなく率直で淡々としているけれど、奥深い言葉。
どの絵本も、絵と詩のシンプルな美しさが調和しています。
今回のコーネリアスも、読み終わった後、最後のシーンもどういう意味として捉えるか私自身も言葉にしにくい感覚が残る絵本だなぁと思いました。
心のどの部分に語りかけてくるかは、読み手によって違ってくるのだと思います。
レオ・レオニの絵本って、すごくシンプルだけど、聡明な感じ。
いつも、健康的な温かさや優しさを絵本から感じます。
けれど、レオ・レオニの絵本は絵の美しさだけでも十分楽しめる絵本なので、内容が理解できるかどうかにかかわらず、小さな子どもさんから大人までおすすめできる一冊です。
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