レオ・レオニのカレンダー
2017年のわが家のカレンダーは、レオ・レオニの絵本の挿絵が描かれたものでした。
月ごとに替わる挿絵と一緒に、それと同じ絵本を読むということを1年続けてきました。
毎月、記事にして紹介してきたレオ・レオニの作品たち。
今日は、せっかくなので12ヶ月分をまとめて紹介しておこうと思います。
重なって何度か登場している作品もあるので、全部で10冊。
子どもはもちろん、大人の心にも響く絵本たちです。
絵本の紹介文は、過去の絵本紹介の記事で私が書いたものからの引用が多くなっています。
フレデリック
「ちょっとかわったねずみの話」という副題が付いています。
他のネズミたちが冬眠のために働いてる間、フレデリックはぼんやりしています。
他のネズミたちに聞かれて、フレデリックは答えます。
「いろをあつめているのさ」
「ことばをあつめているのさ」
・・・冬になって、食べ物も少なく寂しくなってきたネズミたち。
フレデリックは語ります。
「目をつむってごらん。・・・君たちにお日様をあげよう」
フレデリックのお話を聞いたネズミたちは、心の中に明るい色がつきはじまます。
言葉や色、詩の世界。目に見えないけれど、どれも大切なもの。
アレクサンダとぜんまいねずみ
アレクサンダは、ある日おもちゃのぜんまいネズミと出会います。
アレクサンダは、温かい家の中で暮らすぜんまいねずみを羨ましく思っていました。
ある時、アレクサンダは、自分もゼンマイねずみになりたいと思って、願いを叶えてくれるというトカゲに会いに行きます。
そんな中、アレクサンダはぜんまいねずみが不用品の箱の中に入れられているのを見つけます。
アレクサンダは、石をもってトカゲのところへ走ります。
「僕は・・・」
彼はトカゲに何とお願いしたのでしょう?
友だちをみつけたネズミのお話です。
あそぼうよ
かわいい小さめのボードブック。
赤ちゃんから楽しめる絵本だと思います。
『あそぼうよ』は、フレデリックなどの他の作品のような物語性はありません。
「おはよう!」から始まり、1ページごとに、2匹のネズミさんたちがいろんなことをして遊びます。
いつから、私たちは「したいことだけしたい!」という自分の気持ちを手放してしまうのでしょう。
「今日は何して遊ぼうか!」
そんな朝が楽しみになるような子どもの頃の気持ちを忘れたくないなぁと感じました。
コーネリアス
「たってあるいたわにのはなし」とあるように、コーネリアスは、他のワニたちができない立って歩くことができます。
そのために、他のワニが体験したことのない世界をたくさん見ることができます。
それをコーネリアスは他のワニたちに教えてあげたいと思うのですが、他のワニたちは、「それがどうしたの?」と言うだけ。
けれど、最後のシーンで、他のワニたちも本当はコーネリアスの教えてくれたことに心動かされていたことがわかります。
コーネリアスのように、純粋に好奇心をもって世界を見たり、純粋に仲間に良い物を教えてあげたいと思える人っていいなぁと思います。
みんなが少し素直になって自分や他者を受け入れることができたら、「川岸での暮らしはすっかりかわるだろう」と思うのです。
マシューのゆめ
汚くて暗い部屋に住んでいるネズミのマシュー。
ある日、美術館で絵を見てびっくりし、「ここには世界がまるごとある」とマシューは感激します。
そして、マシューは「ぼく絵かきになる!」と言います。屋根裏の暗い部屋に一人のマシュー、けれどその日から自分をとりまく世界がキラキラと輝きだします。
ものの見方、物事の捉え方一つで世界はまるで違ったように見えるんだとマシューは教えてくれます。
世界を想像していく楽しさ。
自分が本当にこれがしたかったというものに出会えるってしあわせなこと。
子どもたちが、目をキラキラと輝かせて感動したり、何か新しい世界と出会う瞬間ってとてもとても大切でかけがえのない瞬間なんだろうと思います。
スイミー
こちらはご存知の方もおられると思います、有名なお話です。
ある日、スイミーはきょうだいたちを大きな魚に飲み込まれてしまいます。
悲しみの中、海を泳いでいるうちに、スイミーはいろいろな生き物に出会います。
そして、最後に岩陰に隠れている自分のきょうだいと同じような赤い小さな魚たちに出会います。
遊ぼうよと誘っても、大きな魚を恐れてみんなは動きません。
スイミーは考えます。知恵を出してみんなが一匹の魚みたいに泳げるようになったとき、スイミーは言いました。
「ぼくが、めになろう」
びっくりたまご
「3びきのかえると変なにわとりのはなし」という副題がついています。
大きなおおきなたまごをみつけた3匹のねずみ。
一体何が生まれるのでしょうか。
中から生まれたのは小さなワニだったのですが、ねずみたちはそれを「ニワトリ」だと思って一緒に遊び仲よしになります。
「知らないこと」「知っていること」って何なんだろう。
私たちは、それがワニだということを知ることで、失ってしまう何かがあるのかもしれない。
みどりのしっぽのねずみ
仮面にとりつかれたねずみの話。不思議なお話です。
のねずみたちは、街のねずみから「マルディ・グラ」という懺悔の火曜日にするパレードの話を聞きました。
のねずみたちは、自分たちも仮面をかぶり、脅かし合って踊ります。
そして・・・
「すこしずつ、みんなは じぶんたちが かわいらしく、おとなしい ねずみであることを、わすれはじめた。」
それからの毎日、かつて平和だったのねずみたちの村には憎しみと疑いがうずまいた。
いつの間にか自分もいろんな仮面をかぶっています、それによって本当の自分の顔を忘れてしまわないようにしたいなぁと思いました。
じぶんだけのいろ
いろいろ探したカメレオンの話。
いろんな色に身体の色を変えることができるカメレオン。
カメレオンは、「自分の色」がないことに悲しみ、自分の色を探します。
そんなとき、カメレオンは別の1匹のカメレオンに出会います。
「ぼくら いっしょに いて みないか?
いくさきざきで やっぱり いろは かわるだろう、
だけど、きみとぼくは いつも おんなじ。」
とても優しい言葉。同じ仲間がいることの心強さを感じた絵本です。
いろいろ1ねん
1本の木に出会ったねずみさんたちの可愛らしいお話。
木と一緒に1年を過ごす2匹のねずみ。季節ごとに木との会話が続いていきます。
そして、12月。クリスマスプレゼントに2匹が木に贈ったものは何だったでしょう?
微笑ましい物語で、1年の季節を楽しむことができる絵本です。
「現実への信頼感」
レオ・レオニの絵本について、谷川さんが絵本のまえがきでおっしゃっています。
この主人公たちは、自分たちの弱さを恥もしないかわりに、自分たちの強さを誇りもしません。そこに私は、作者の生きものに対する優しさを見ます。
レオ・レオニは何よりもまず生きる喜びを大切にしています。
(フレデリックまえがきより)
確かに、レオ・レオニの絵本を読んでいると、いつも主人公は一人で、他の大勢とは違う「何か」をもっています。
主人公はその「違い」を生きることを通して、何かを見つけ出します。
違いを生きること、それはとても辛く悲観してしまうことかもしれません。
けれど、レオニの主人公たちはいつも現実への信頼感がある気がするのです。
ちゃんと自分の周りの世界を恐れずにありのままに見ること、そして素直に感動し、新しいものに心を動かして目を開いていけること。
それが私は賢さだと思います。
そんな世界がレオニの絵本の中にはいつも広がっている気がします。
今年1年レオ・レオニの絵本にたくさん出会えたことをうれしく思います。
また、来年もたくさんの絵本と出会えますように。
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